ゆらぎをデザインする|YURAGI DESIGN

クライアント
株式会社YURAGI DESIGN
期間
2024.1 - 2025.8

YURAGI DESIGNは、「学び」と「コミュニケーション」を通じて、個人や組織の変化を支援する会社です。今のあたりまえに“ゆらぎ”を起こし、新しい意味や価値を創発するための方法を探究・定着支援することをミッションとしています。異業種横断型リーダーシッププログラム「KAGIROI《陽炎》」や、Empower-Mentor育成プログラム「TŌMORI《燈守》」など、個の変容を起点とした組織づくりと社会価値の共創に取り組んでいます。 「みずみずしい社会をつくりだす」──あたりまえに“ゆらぎ”を投じる個が起点となり、多様な価値観の共振から新しい変化の創発が次々に生まれていく。そんな個と組織と社会の関係づくりを目指しています。

コーポレートブランディング

YURAGI DESIGNの立ち上げに際し、私たちはコーポレートブランディングとサービスブランディングの支援を行いました。CI開発を起点に、ロゴ・シンボル・タイポグラフィ・カラーシステム・キービジュアル・名刺・Webサイトまでを設計し、各サービスブランドへの展開を見据えたブランドシステムを構築しました。

ゆらぎをデザインする

プロジェクトの起点として、私たちはまずYURAGI DESIGNの思想と構想を深く読み解くことから始めました。彼らが掲げる世界観とサービスモデルは明確で、私たちが集中すべきは、それに正しい視覚的なイメージを与えることでした。

YURAGI DESIGNが掲げる“ゆらぎ”は、固定化された価値観や前提に揺さぶりをかけ、変化の起点をつくる思想です。さまざまな角度からデザインを検証していく中で、ひとつの確信に辿り着きました。“ゆらぎ”とは具体的な物体ではなく、つかもうとするとすり抜けるもの、見えそうで見えないもの、とらえられそうでとらえられないもの、存在していそうで存在していないもの──それが本質であると考え、ブランドの核に据えることにしました。

シンボルマークには、色相があるようでない微妙なトーンの淡いグレーを採用しました。円か四角かを判別しきれない有機的な形状に、凹とも凸とも読める立体的な加工を施すことで、見るたびに異なる印象を与えます。固定された意味を持たせるのではなく、見る人それぞれの解釈が立ち上がる余白を意図的に残しました。

ロゴタイプはカスタム書体「YRG」を作成し、過度な装飾を排しながらも、端部や接合部にわずかなニュアンスを加えることで、整いすぎない印象を与えるよう設計しました。より分かりやすい変化を加えた「YRG Stencil」も合わせて制作し、文脈に応じて使い分けられるタイポグラフィシステムとして整備しました。主張しすぎず、それでいて静かな個性を持つ書体として、YURAGI DESIGNが目指すしなやかさと変化の余白を表現しています。

コーポレートブランドで定義したロゴ・書体・カラーのルールは、サービスブランドと各種コミュニケーションツールへと展開しました。

サービスブランディング

コーポレートブランドに続き、各サービスのブランドデザインも担当しました。

YURAGI DESIGNのサービスには、それぞれアルファベットと日本語を組み合わせた固有の名称が与えられています。「KAGIROI《陽炎》」「TŌMORI《燈守》」「HOMURA《火群》」「LANTERN《蘭灯》」など、“ゆらぎ”にまつわる言葉で統一されたこの命名体系は、YURAGI DESIGNの一貫した世界観を表現しています。

それぞれのサービスの思想と役割を読み解きながら、私たちは視覚的なアイデンティティへと展開しました。コーポレートブランドとの一貫性を保ちながらも、各サービスが固有の個性を持つブランド群として機能するよう設計しました。

おわりに

本プロジェクトで向き合ったのは、「自分たちは何者か」を深く言語化したクライアントからの、高い期待値を持ったデザインの問いかけでした。コンサルティング出身の思考の解像度が高いチームだからこそ、ありがちな着地点やまとめやすい答えは、私たちが発揮すべき価値として求められているものではありませんでした。

そのような状況の中で私たちが選んだアプローチは、対象を深く掘り下げ、切り口を見つけ出し、創造性を発揮して、それを高いレベルで具現化することでした。完成したロゴを見て「全く想像していなかったものができた」「自分たちやサービスの輪郭がより明確になった」と評価いただけたことは、そのアプローチが間違っていなかったという確信となりました。

このプロジェクトを通じて、私たちは多くのことを学びました。その中でも、ブランドの個性とは、分かりやすくビビッドなものだけが正解ではない。“ゆらぎ”のように柔らかく、ささやかで、つかみきれないものの中にも、確かな個性は宿るということ。そしてアイデンティティを定義するとは、そういったものを丁寧にすくい上げることだということです。

YURAGI DESIGNの、学びを引き出しながら変容を後押しするメソッドは、私たち自身にも影響を与えています。私たちも“ゆらぎ”を大切にしながら、組織として、個として成長していきたいと思っています。今後はブランディングにとどまらず、具体的なサービスシステムの開発など、より事業に密接した領域の支援を行いながら、彼らの思想がより多くの人や組織に届くことに貢献していきたいと思います。

YURAGI DESIGNを立ち上げて約3年が経ちました。最初にあったのは、創業メンバーの大切にしたい想いと、まだ漠然とした事業のアイデアだけ。まさに雲を掴むような状態でした。 この3年間は、それを少しずつカタチにし、具体的な価値に変え、「実」にしていく年月だったと感じています。立ち上げ時からSHEDさんと対話を重ね、共に創り上げてきたおかげで、確かな手触りのあるブランドが出来上がりました。その模索の過程自体が、とても楽しいものでした。 当社のロゴが象徴するように、YURAGI DESIGNは今も変わり続けています。変化にカタチを与え、時にはそれを壊し、また新たに創り出す。これからも、その変容のプロセスを共に歩んでいただきたいと思っています。

松田秀作  株式会社YURAGI DESIGN 取締役


Project Team

  • アートディレクション: Tomoki Tachibana

  • PM:Yu Usami

  • CIデザイン、サービスブランドデザイン、コミュニケーションツールデザイン: Yoshihito Hamada

  • イラストレーション:Yoshihito Hamada、Mariko Hirao

  • マークアップ: Nanami Shozakai