Overview

取り組んだ内容

  • ビジュアルアイデンティティの開発
  • コミュニケーションツールの制作
  • オリジナルギフトパッケージの開発

Approach

イントロダクション

『珈空暈(Cokuun)』は、第15代ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏が立ち上げた完全予約制のコーヒーバーです。禅語からインスピレーションを受けて名付けられた珈空暈では、茶室をイメージした4席のみの繭のような特別な空間で、コーヒーのフルコースを体験することができます。日本を代表する伝統工芸や、日本でしか味わうことのできない食材・お酒などを、井崎氏ならではの独自のフィルターを通して再編集した「The zen of coffee」という唯一無二のジャンルとして提供しています。

前衛的かつ野心的なプロジェクト

私たちはこれまでも株式会社QAHWAHide Izakiなど、井崎氏とのプロジェクトを複数手がけてきました。その中でも珈空暈は、前衛的かつ野心的なプロジェクトでした。まだ正式な名前も決まっていない完成したばかりの空間で、「どこにもないコーヒーのファインダイニングをつくりたい」という話を井崎氏から受けたとき、私たちは興奮を隠しきれませんでした。この空間での特別な体験を最大化させるためのデザイン支援を行うことを決めました。

ビジュアルアイデンティティ

私たちはまず珈空暈のビジュアルアイデンティティの開発に取り組みました。日本文化の新しい象徴として機能するように、格式と威厳をもった古い書体である篆書や隷書をベースにしつつも、そこに構造化された幾何学的で現代的な形状を組み合わせた文字をロゴに採用しました。円盤のシンボルは、珈空暈のエントランスで客人を出迎える芸術家の松原賢氏の作品『環・一滴』をイメージしています。

コミュニケーションツールの制作

次に私たちは会員証と名刺などのコミュニケーションツールの開発に取り組みました。ラグジュアリーな体験にふさわしい、そしてステータスを感じられるようなアイテムとは何かを考えて、さまざまな検討を行いました。

最終的に、鉄粉を混ぜた塗料が吹き付けられた外壁や、お湯を沸かすために使われている南部鉄瓶などをイメージして、錆風の塗装が施された鉄製のカードの会員証を制作しました。一期一会の特別な体験を演出するために、全く同じものが存在しないように職人の手によって加工されたカードは、IDナンバーもひとつひとつ打刻されています。
会員証を郵送するための封筒は、黒く塗装された木製のテーブルや漆の折敷などをイメージして、マットな黒色の厚紙に透明インクで木目をあしらったものを制作しました。
コースのメニュー表は、メジウム箔でプリントされたナチュラルな用紙に、手作業でコーヒー染めを行いました。
また他にも、井崎氏をはじめとしたスタッフの名刺やWebサイトの初期モックアップの制作などを手がけました。

オリジナルギフトパッケージの開発

2024年初旬、私たちは井崎氏からスペシャリティーコーヒーの豆を販売したいという相談を受けました。多くの海外のゲストが訪れている珈空暈で、インバウンドのギフトとしてベストなパッケージのデザインを依頼されました。また、スーツケースの中でも破損しないような、適度な強度や柔軟性を持った素材を検討する必要がありました。

私たちは日本の伝統的なパッケージとしての「包む」という行為に着目し、布や紙、木箱やガラス瓶など、さまざまな素材のサンプルを制作しました。そして最終的に、黒く塗装した籠に、コーヒーで人と人を結びつけるというコンセプトを表現した白い水引と熨斗を組み合わせたものを作成しました。

おわりに

2022年末にオープンした珈空暈は、今も世界中の人々にコーヒーの新しい可能性と多くの感動を提供し続けています。私たちはこのプロジェクトを通して、井崎氏の細部へのこだわりや美術・工芸に対する造詣、伝統から新しい文化を切り開いていく姿勢など、多くのことを学びました。これからも珈空暈の支援を行いながら、世界のここでしか体験できない、唯一無二の日本文化の発信に貢献していきたいと思います。


Overview

取り組んだ内容

  • 個人の人格を反映したブランドの立ち上げ
  • ブランドコンセプトの視覚化
  • コンセプトを体現する商品デザイン

Approach

イントロダクション

Hide Izakiは第15代ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏のオリジナルブランドです。井崎氏はコーヒーコンサルタントとして「Brew Peace」のマニフェストを掲げてグローバルに活動。ヨーロッパやアジアを中心に、コーヒーチェーンやF&Bチェーンのコーヒーの監修、大手ブランドのビジネスディベロップメントなど、商品開発からマーケティングまで一気通貫したコンサルティングを行っています。Hide Izakiはその井崎氏個人の名前を配し、コーヒー業界のアイコンとして、ラグジュアリーブランドからライフスタイルブランドまで、幅広いコラボレーションを展開するブランドです。

個人の人格を反映したブランドの立ち上げ

これまで私たちは井崎氏の立ち上げた株式会社QAHWAのブランディング、オリジナル飲料「QAHWA MILK(カフアミルク)」のパッケージデザイン、ファインダイニング「珈空暈(コクーン)」のブランディングなど、さまざまな支援を行ってきました。

井崎氏はコンサルティング事業やバリスタハッスル事業のほかにも、次世代のバリスタ育成を目的としたコーヒータレントマネージメント、新たな企業間コラボレーションなど、事業の幅を広げていました。多岐にわたる活動の中で、井崎氏の思想やアウトプットをひとつにまとめるためのブランドが必要でした。私たちは事業ドメインの整理をサポートすると同時に、井崎氏個人の人格を反映したオリジナルブランドの立ち上げのサポートを開始しました。

唯一無二のコンセプト、“ラグジュアリー・アウトロー”

新たなブランドをつくるにあたり、私たちは井崎氏と対話を重ねました。その中でいくつかの核となるキーワードが出てきました。

 

  • 井崎氏の活動のテーマである日本の禅とコーヒーの融合
  • 井崎氏のルーツとなるアヴァンギャルドとアウトロー・カルチャー
  • コーヒー業界でのストリートとハイブランドの融合
  • 令和の時代に再解釈された昭和喫茶のイメージ

 

これらの全てが1点に交わるその世界観を、コンセプトのゴールに定めました。私たちはそれを“ラグジュアリー・アウトロー”と名付けました。

ブランドコンセプトの視覚化

私たちは“ラグジュアリー・アウトロー”を表現するために、さまざまなアプローチで視覚化を試みました。試行錯誤を繰り返す中で、ひとつの輪郭が見えてきました。

ハイブランドのロゴような重厚感の中にあるエッジとクラフトイズム。そして和と禅の新しい解釈としてのサイケデリックな色彩の世界。レイアウトや書体など、シンプル&ミニマルの中にある古臭さと新しさの同居。

私たちはそれらをWebサイトやブランドガイドラインに落とし込みました。

Photo by Shin Suzuki

コンセプトを体現する商品デザイン

Hide Izakiブランドの最初の商品は、2023年11月にジャパネットたかたにて先行発売を行ったコーヒーバッグセットでした。浅煎り・深煎り・スペシャルブレンドの本格的なコーヒーを気軽に楽しむことができる商品として、これまでのコーヒーバッグの常識を覆すデザインにすることで、非常に人気を博しました。

次の商品はカプセル式コーヒーのKEURIG(キューリグ)とのコラボレーションでした。大手コーヒーチェーンやスペシャルティコーヒーの有名ブランドのラインナップが並ぶ中で、「Hide Izaki ドリップカプセル」として唯一無二の存在感を放つパッケージとしてデザインを行いました。

おわりに

美味しいコーヒー1杯から広がる小さな幸せの輪が、優しい社会の実現へと繋がっていく。コーヒーで人と人を繋ぐ井崎氏の精力的な活動を、私たちはこれからもデザインで支援して参ります。


日本最大級のフードトラック・プラットフォーム「TLUNCH〈トランチ〉」のブランディングを担当。海外のフードトラックカルチャーを輸入するのではなく、「TLUNCH」という新たなサービスとして日本に普及させるため、サービスアイデンティを刷新。弊社はロゴ開発とガイドライン化、ビジュアル展開パターンなどを担当。関連プロジェクトはこちら


日本最大級のフードトラック・プラットフォーム「TLUNCH〈トランチ〉」などのサービスを展開する株式会社Mellowのリブランディングを担当。コンセプト設計からCI開発、名刺の制作などを担当。関連プロジェクトはこちら


日本最大級のモビリティビジネス・プラットフォームを展開する株式会社Mellow。ビルの空きスペースと個性豊かなフードトラックをマッチングするサービスの「TLUNCH」を提供していたが、フード以外のカテゴリーへの展開や、自動車メーカーとの提携による多様なモビリティビジネスへの展開が視野に入るタイミングで、これまでのサービスの立ち位置やネーミングなどに課題が発生。そこで、新たなサービスブランドとしてふさわしいネーミングやデザインの開発を約1年かけてクライアントとともに準備。 Shed はブランド体系の整理からSIの開発、ガイドラインの作成、各種ツール類の制作を担当。
これまでのフードトラックのブランドの印象を引き継ぎつつも、新しいコミュニケーションを確立するために色や展開を刷新。 全体のデザインは「スペース(空間)をブランディングする」というコンセプトのもとに展開。日常の風景にマッチしつつも、気付きや新鮮な驚きを感じるように設計した。


第15代ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏が設立した、コーヒーと人の素敵な出会いをプロデュースし、コーヒーの力で平和な世界を叶える会社、株式会社QAHWA(カフア)のブランディングを担当。CI開発をはじめ、名刺や封筒などのブランドツール、Webサイトの制作を担当。