世界でここでしか味わえない唯一無二の体験をデザインする|珈空暈(Cokuun)

クライアント
井崎 英典(株式会社QAHWA)
期間
2022.3 - 2024.7

Overview

取り組んだ内容

  • ビジュアルアイデンティティの開発
  • コミュニケーションツールの制作
  • オリジナルギフトパッケージの開発

Approach

イントロダクション

『珈空暈(Cokuun)』は、第15代ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典氏が立ち上げた完全予約制のコーヒーバーです。禅語からインスピレーションを受けて名付けられた珈空暈では、茶室をイメージした4席のみの繭のような特別な空間で、コーヒーのフルコースを体験することができます。日本を代表する伝統工芸や、日本でしか味わうことのできない食材・お酒などを、井崎氏ならではの独自のフィルターを通して再編集した「The zen of coffee」という唯一無二のジャンルとして提供しています。

前衛的かつ野心的なプロジェクト

私たちはこれまでも株式会社QAHWAHide Izakiなど、井崎氏とのプロジェクトを複数手がけてきました。その中でも珈空暈は、前衛的かつ野心的なプロジェクトでした。まだ正式な名前も決まっていない完成したばかりの空間で、「どこにもないコーヒーのファインダイニングをつくりたい」という話を井崎氏から受けたとき、私たちは興奮を隠しきれませんでした。この空間での特別な体験を最大化させるためのデザイン支援を行うことを決めました。

ビジュアルアイデンティティ

私たちはまず珈空暈のビジュアルアイデンティティの開発に取り組みました。日本文化の新しい象徴として機能するように、格式と威厳をもった古い書体である篆書や隷書をベースにしつつも、そこに構造化された幾何学的で現代的な形状を組み合わせた文字をロゴに採用しました。円盤のシンボルは、珈空暈のエントランスで客人を出迎える芸術家の松原賢氏の作品『環・一滴』をイメージしています。

コミュニケーションツールの制作

次に私たちは会員証と名刺などのコミュニケーションツールの開発に取り組みました。ラグジュアリーな体験にふさわしい、そしてステータスを感じられるようなアイテムとは何かを考えて、さまざまな検討を行いました。

最終的に、鉄粉を混ぜた塗料が吹き付けられた外壁や、お湯を沸かすために使われている南部鉄瓶などをイメージして、錆風の塗装が施された鉄製のカードの会員証を制作しました。一期一会の特別な体験を演出するために、全く同じものが存在しないように職人の手によって加工されたカードは、IDナンバーもひとつひとつ打刻されています。
会員証を郵送するための封筒は、黒く塗装された木製のテーブルや漆の折敷などをイメージして、マットな黒色の厚紙に透明インクで木目をあしらったものを制作しました。
コースのメニュー表は、メジウム箔でプリントされたナチュラルな用紙に、手作業でコーヒー染めを行いました。
また他にも、井崎氏をはじめとしたスタッフの名刺やWebサイトの初期モックアップの制作などを手がけました。

オリジナルギフトパッケージの開発

2024年初旬、私たちは井崎氏からスペシャリティーコーヒーの豆を販売したいという相談を受けました。多くの海外のゲストが訪れている珈空暈で、インバウンドのギフトとしてベストなパッケージのデザインを依頼されました。また、スーツケースの中でも破損しないような、適度な強度や柔軟性を持った素材を検討する必要がありました。

私たちは日本の伝統的なパッケージとしての「包む」という行為に着目し、布や紙、木箱やガラス瓶など、さまざまな素材のサンプルを制作しました。そして最終的に、黒く塗装した籠に、コーヒーで人と人を結びつけるというコンセプトを表現した白い水引と熨斗を組み合わせたものを作成しました。

おわりに

2022年末にオープンした珈空暈は、今も世界中の人々にコーヒーの新しい可能性と多くの感動を提供し続けています。私たちはこのプロジェクトを通して、井崎氏の細部へのこだわりや美術・工芸に対する造詣、伝統から新しい文化を切り開いていく姿勢など、多くのことを学びました。これからも珈空暈の支援を行いながら、世界のここでしか体験できない、唯一無二の日本文化の発信に貢献していきたいと思います。


Project Team